言葉を「使う」から「遣う」へ
皆さんは接客でつかう言葉についてどのような印象をお持ちでしょうか? 研修のなかでお聞きすると「難しい」「堅苦しい」などのご意見が多いです。ここから3回にわたって、苦手意識をお持ちの方が多い言葉づかいについてお届していきます。 第1回目となる今回は敬語についてお話をしていきます。第2回目の「お客様が受け止めやすい言葉づかい」、第3回目の「間違いやすい接遇用語」も併せてご覧ください。 そもそも、接客場面において敬語は必要なのでしょうか。
フレンドリーな接客には適していないのでは?というお声を聞くこともあります。
私は、正しい敬語を知ったうえでお客様に合わせて使い分けることが接遇だと考えています。
「知らないから使えない」のと「知っていて使い分ける」には大きな違いがあります。
言葉づかいを漢字で書くと「言葉使い」ではなく「言葉遣い」です。
道具を「使う」ではなく、気遣い・心遣いの「遣う」という漢字で表しています。
つまり、敬語という言葉は皆さんの想いを伝えるための大切な手段なのです。 では、敬語の知識を身につけるにはどうすれば良いのでしょう。
耳で覚えることと、漢字の勉強と同じようにカタチを覚えることを併用してください。
学校の授業で敬語を学んだという方もいらっしゃると思います。
これはまさに「カタチ」を覚える方法、この場合は暗記あるのみです。
ただ、敬語も他の勉強と同じで知識だけでは実践に活かせないのです。
まずは土台となる知識を身に付けた上で「耳で覚える」ことを意識してみてください。
周囲の方の言葉遣いに耳を傾けて、良いも悪いも遣い方の吸収をしてほしいのです。
どんな場面でどのような敬語が適しているのか。
また、違和感を覚えるようなつかい方があれば何が原因かを考えてみましょう。
私も若いころから敬語が得意だったわけではありません。
講師という仕事に就いて、皆さんのお手本となるべき環境になって初めて勉強しました。
インターネットでも書店でも、敬語に関する書籍はたくさん販売されています。
皆さんが「接遇のプロ」として正しい日本語を身につけてくださると嬉しいです。
最後に、敬語の種類と使いわけについてご紹介します。
→ 敬語の種類
1) 尊敬語 ⇒ お客様の行為、行動を表わす敬語(お客様が主語になる)
2) 謙譲語 ⇒ 自分(身内)の行為、行動を表わす敬語(自分が主語になる)
3) 丁寧語 ⇒ 丁寧に表現した言葉
厳密には謙譲語と丁寧語が2種類ずつに分かれていて合計5種類あります。
ここではシンプルな方法で掲載していますので、興味がある方はお調べください。
→ 敬語の使い分け
● 「行く」
尊:お客様が「行かれる」「いらっしゃる」
謙:私が「行かせていただく」「参る」「伺う」
● 「する」
尊:お客様が「される」「なさる」
謙:私が「させていただく」「いたす」
● 「言う」
尊:お客様が「言われる」「おっしゃる」
謙:私が「言わせていただく」「申す」「申し上げる」
● 「見る」
尊:お客様が「見られる」「ご覧になる」
謙:私が「見せていただく」「拝見する」
● 「思う」
尊:お客様が「思われる」「お思いになる」
謙:私が「存じる」
今回のテーマの言葉づかいも含めて、接遇の基礎である「接遇の五原則」というものがあります。 1.身だしなみ 「身だしなみは無言のおもてなし」 お客様に快適に過ごしていただくために必要な接遇の基礎スキルのお話ですので、こちらのページも併せてご覧ください。 |
お客さまとスタッフから選ばれるお店や会社を作るためのヒントを研修スタイルの動画で配信中!
|
執筆者:接遇コンサルタント 磯貝和美 |
接遇研修とコンサルティングを通じて、お客さまとスタッフから選ばれるお店づくりのお手伝いをしています。私が持ち続けているのは「スタッフが笑顔で働けるお店を増やしたい」という想いです。人育てなくしてお客さま満足は達成できません。私の役割は接遇のスキルを伝えることだけではなく、接遇力向上に必要な考え方を伝え、お店全体に接遇が浸透する仕組みをつくることです。本気でお店の接遇力向上をお考えのオーナー、幹部を全力でサポートします。磯貝和美のプロフィール 『ブログでは日常のなかで見つけた接遇力向上の秘訣、コンサルティング&研修の具体例などの記事を書いています!』 |