接遇力を向上させる方法1【接遇教育の進め方】


 

接遇力が向上したお店に起きる3つの変化」ではお店の接遇力が向上したときに起こる変化についてお話をしました。

自分たちのお店でも接遇力を向上させて、お客さまからもスタッフからも選ばれるお店を作りたい!と思われた方はこのコラムまで読み進めてくださっていると思います。
ここで生じる疑問が「どうすれば自分たちのお店の接遇力が向上するのか?」という具体的な方法ではないでしょうか。

これらの疑問を解消すべく、ここから3回に渡って接遇コンサルタントとして数多くのお店の接遇力向上に関わってきた経験をもとに、接遇力の高いお店のオーナーに共通する考え方や接遇力を向上させるための接遇教育の進め方についてお話をしていきます。
 

接遇教育と言えば、一番最初に頭に浮かぶのは「接遇研修」ではないでしょうか。

私が関わってきたお店のなかには、「初めて接遇研修を検討している」というお店もありますが、「過去に接遇研修を行ったことはあるが効果が感じられなかった」というお店も少なくありません。
この原因は、「接遇教育=接遇研修」という考え方が一般的に広まっていることが大きいと思っています。

いわゆる「スタッフが接遇の知識や基礎スキルを学ぶというスタイルの接遇研修」は、接遇教育のなかのひとつの要素であり、接遇教育を進めるための6つの工程の最終工程という位置づけです。
つまり、①から⑤までの工程をクリアしていない段階で接遇研修を行っても望むような効果が期待できない可能性が高いということです。
 

 
<接遇教育の6つの工程>

① トップが率先してお店の接遇力向上に取り組むことを決める
② スタッフたちにトップの想いと、お店の目指しているゴール(接遇力向上)を伝える
③ お店の接遇力向上のための接遇教育を行うことを伝える
④ 接遇教育の中心となる人材(トレーナー)の選定とトレーナーに対する教育を行う
⑤ スタッフたちへの接遇教育の計画を立てる
⑥ スタッフたちへ接遇教育を行う

 

工程①「トップが率先してお店の接遇力向上に取り組むことを決める」

 

まずは、トップが率先してお店の接遇力向上に取り組むことを決めるということがとても重要です。

接遇力が向上したお店に起きる3つの変化」でもお話をした通り、接遇力が高いお店のオーナーや幹部は『こんなお店を作りたい!』という明確なゴールとプランを持っているとともに、『トップ自らが率先して学び、成長し、変化し続ける必要がある』という考えを持っていらっしゃいます。

そういうお店のオーナーや幹部とお話をして、お店を見せてもらった結果、「このトップの意識がこのお店を作り上げているんだ」と確信しました。
まさに、子は親の鏡でありスタッフはトップの鏡、接遇力向上の鍵を握っているのはスタッフへの教育ではなくトップの意識改革なのです。
 

私が今までに出会った接遇力の高いお店のトップに共通していたのは、お客さまのこともスタッフのことも心の底から大切にしているということです。
大切に想っているからこそ、お客さまに喜んでいただけるように接遇力を高めたいし、スタッフたちが仕事を通して成長し、より良い人生を送れるようにサポートしたいから接遇教育を検討しているという考え方です。

大切に育てられたスタッフはお客さまのこともお店のことも、仲間のことも大切にしてくれます。
つまり、トップの意識次第で自然と接遇力向上や顧客満足は実現できるのです。

逆に、接遇力向上に苦戦をしているお店のトップに共通しているのは、自分はできているがスタッフはできていないという考え方です。
はっきりと言葉に出すオーナーもいらっしゃれば、言葉には出さないけれど会話の端々にそのような気持ちが表れている方もいらっしゃいました。

表面上は「スタッフのために…」という言葉をつかっていても、本心がそこにないことは初対面の私にも伝わります。
もちろん、日頃から近くで過ごしているスタッフたちはそれをヒシヒシと感じているでしょう。
自分たちのことを、このように想っているオーナーやお店のためにがんばろうと思えるスタッフは少ないはずです。
 

前者のタイプのオーナーのなかには『スタッフたちの出来ていないところばかりに目を向けてしまっていた結果、スタッフもお客さまも離れていってしまった』という経験から深い学びがあり、まず自分を見つめなおす必要性を強く感じたという方もいらっしゃいました。
そんなお店で古くから働いているスタッフに話を聴くと『昔のオーナーはめちゃくちゃ怖かったんですよ(笑)』と今では笑い話として教えてくれました。

 

工程②「スタッフにトップの想いとお店の目指しているゴール(接遇力向上)を伝える」

 

スタッフたちにトップの想いとお店の目指しているゴール(接遇力向上)を伝えることに関しても、すでに接遇力の高いお店のオーナーは日頃から実践していらっしゃいます。

ミーティングの場はもちろんのこと、食事会などを開催して、オーナーから直接スタッフたちにお店の目指すところや自分の心のなかにあるお客さまやスタッフへの想いを伝え続けるのです。
オーナーのブレない想いを受け取り続けることで、スタッフの心にもブレない信念が生まれます。
 

『お店やスタッフに対する想いはあるけど伝え方が分からない』『うまく伝える自信がない』というご相談を受けることもありますが、この場合は無理に言葉で伝えようとせず、態度や姿勢で間接的に伝えていかれることをお勧めしています。

スタッフたちはトップの変化に敏感なので必ず『あれ?なんか変わったよね』と気づきます。
そうすると、少しずつスタッフの気持ちにも変化が表れてくるはずですので、オーナーの口から直接伝える機会を作りましょう。

上手に伝える必要はないのです。
『自分は言葉に表現するのが苦手だからうまく伝わらないかもしれないけど…』と、ご自身の正直な気持ちを言葉にしてお話をすれば想いは伝わります。

ここまでの工程をしっかりと行っているお店はオーナーとスタッフの間に強固な人間関係が出来上がっているので、スタッフたちが接遇教育を積極的に受け入れてくれます。

このようなお店で研修を行うと、スタッフたちは目をキラキラとさせて『もっと学びたい!』『もっと成長したい!』という姿勢で参加してくれていました。
ご想像の通り、やる気に満ち溢れたスタッフたちは想像をはるかに超える吸収力を発揮してくれますので、接遇教育を始めた途端に目を見張るような成果が見られます。

 

 まとめ

 
お客さまの一番近くで接客をするのはスタッフです。
スタッフたちがお店のために本気を出してくれないと接遇力向上は実現しません。
そして、このようなスタッフを生み出すのはトップの意識次第なのです。

これは理想論などではなく、すでに接遇力の高いお店で起こっている現実です。
 

今回のコラムでは、お店の接遇力向上を実現させるため、避けては通れない大切な工程①と②についてお話をしてきました。
ここまできて初めて、スタッフたちへの接遇教育の扉が開くと思ってください。

工程③にあるように、お店の接遇力向上のための接遇教育を行うことを伝えていきます。
まだお店としてやるべきことはたくさんありますが、早く伝えておくことでスタッフたちにも心の準備をしておいてもらいましょう。

次のコラム「接遇力を向上させる方法2【接遇トレーナーの選定と育成】」では、工程④接遇トレーナーの選定とトレーナーに対する教育についてお話をしていきます。
是非、このまま読み進めていただいて、あなたのお店の接遇力向上に取り組んでいってくださいね。

 
 

執筆者:接遇コンサルタント 磯貝和美

接遇研修とコンサルティングを通じて、お客さまとスタッフから選ばれるお店づくりのお手伝いをしています。私が持ち続けているのは「スタッフが笑顔で働けるお店を増やしたい」という想いです。人育てなくしてお客さま満足は達成できません。私の役割は接遇のスキルを伝えることだけではなく、接遇力向上に必要な考え方を伝え、お店全体に接遇が浸透する仕組みをつくることです。本気でお店の接遇力向上をお考えのオーナー、幹部を全力でサポートします。
                                            磯貝和美のプロフィール

 
 

接遇コラム一覧
 
接遇力向上の秘訣

接遇力が向上したお店に起きる3つの変化
接遇力を向上させる方法1 -接遇教育の進め方-
接遇力を向上させる方法2 -接遇トレーナーの選定と育成-
接遇力を向上させる方法3 -接遇教育の計画と実行-

 
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